メタノール(劇物)

CH3OH

危険有害性情報
引火性の高い液体及び蒸気
飲み込むと有害
強い眼刺激
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
臓器の障害
眠気又はめまいのおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による臓器の障害

メタノール中毒は、取り扱い時の吸入、故意の摂取、誤飲などで起こる。メタノールの致死量に関しては様々な報告があり、個人差が大きいと考えられるが、ヒト、経口での最小致死量は0.3-1.0g/kg程度であると考えられている。これはエタノールの1/10程度の量である。ヒトを含む霊長類の場合、メタノールはアルコールデヒドロゲナーゼによってホルムアルデヒド代謝され、さらにホルムアルデヒドヒドロゲナーゼによってギ酸に代謝される。ホルムアルデヒドの体内半減期はおよそ一分であり、ホルムアルデヒドからギ酸への代謝は迅速に行われるため、ホルムアルデヒドによる毒性はほとんど問題にならない。メタノールの毒性はギ酸による代謝性アシドーシスとニューロンへの毒性によるものである。ギ酸の代謝能力は種によって異なっており、げっ歯類に比べてギ酸の代謝能力に劣る霊長類はメタノールの毒性が強く出ることが知られている。

メタノール中毒による症状としては、目の網膜を損傷することによる失明がよく知られている。これは次の網膜でのメカニズムによる。βカロテンが鎖の真ん中で切断されると2分子のトランス型のレチノールというアルコール型のビタミンAを生成する。このレチノールは酸化されてレチナールというアルデヒドになるが、このトランス型のレチナールはシス型のレチナールに変化してオプシンというタンパク質に収納される。このレチナールとオプシンの複合体がロドプシンである。ロドプシンに光が当たり、シス型だったレチナールが安定なトランス型に戻ると、レチナール分子はオプシンに収まらず外れてしまう。この変化が細胞内を伝わり化学的に増幅され、「光が当たった」という信号となって視神経に伝播する。トランス型レチナールは再びイソメラーゼの働きでシス型に折り曲げられてオプシンに収納されるが、やがてレチナールは消耗し不足してゆく。そして、この不足した分はレチノールから酸化して補われる。網膜にはレチノールをレチナールに酸化するためのアルコール脱水素酵素が豊富に存在するため、メタノールを飲んだ場合には網膜でホルムアルデヒドが大量に作られ、そのホルムアルデヒドの毒性が視細胞に悪影響を及ぼし、その結果として失明することになる。ホルムアルデヒドは短時間でギ酸に代謝される。ギ酸は、10-ホルミルテトラヒドロ葉酸合成酵素によりテトラヒドロ葉酸から10-ホルミルテトラヒドロ葉酸を経て代謝、分解される。ヒトではこの反応速度が遅いためギ酸が残留して毒性を示すこととなる。メタノール中毒による視力障害は、ギ酸の直接傷害による視神経の脱髄が原因と考えられるが、軸索の損傷も示唆する報告がある。またギ酸がミトコンドリアの電子伝達系に関わるシトクロムオキシダーゼを阻害するために視神経毒性が現れるとする意見もある。

メタノールとギ酸はともに血液透析により効率よく除去することができる。また、生体内でのギ酸分解を促進するために活性型葉酸の投与が推奨される。

日本ではエタノールを混合していないメタノール劇物であり、購入時の毒劇物譲受書への署名捺印を義務付けられている。

各国の中毒における事例

日本

戦前の1933年にメタノールで増嵩ししたカストリの飲用から30名以上の死者が出たほか、第二次世界大戦後の混乱期には安価な変性アルコールを用いた密造酒によるメタノール中毒もしばしば起きた。

エタノールは酒税の課税対象となるが、エタノールメタノールなどを加えた変性アルコールは非課税であり、これらは安価であった。このエタノールメタノールが混入された変性アルコールを蒸留して、すなわち、"メタノールエタノールの沸点は異なるので、適切な温度で蒸留したら分離できるだろう"という目論見で、変性アルコールを加熱・蒸留してエタノールを分離しようとしたものを密造酒として供することが横行した。しかし、メタノール-エタノール混合溶液は共沸混合物であり、メタノールエタノールの沸点が異なっていても、混合溶液となったものを単純に加熱してメタノールを取り除くことは不可能で(共沸)、この結果、メタノールを除去できていない変性アルコールがカストリ酒となって広く出回り、中毒事故が多発した。

失明者が多く出たことから、メタノールの別称である「メチルアルコール」を当てて「目散るアルコール」や、その危険性を象徴してバクダン等と呼ばれた。

イタリア

1986年、メタノール入りのワインを飲んで22人が死亡した[6]。

ケニア

ケニアで一般的に飲まれているトウモロコシの発酵酒は、製造時にメタノールを添加し、アルコール度数を高める手法が密かに行われている。その添加量は中毒患者が出るギリギリで調節されているというが、しばしば中毒事件が発生する。2000年には、「チャンガー」と呼ばれる密造酒により134人が死亡、1000人以上が病院に収容される大事件が発生したほか、2005年にも30人程度の死亡者が発生するなど事件は後を絶たない。

中国

1998年の旧正月直前に、山西省メタノールが入った密造酒による中毒死事件が起きた。約400人が入院し、約30人が死亡した。

韓国

1988年のソウルオリンピックの際にソ連のオリンピック協会職員が、薬局でエタノールを購入しようとしたところ(当時のソ連の財政難とルーブルの暴落のために、通常の酒類が購入できなかった)誤ってメタノールを購入してこれを飲んでしまい、死亡する事故が起こった。

ベトナム

零細な酒造メーカーにおいては、蒸留酒のアルコール度数を増やすために、安価な燃料用メタノールを混入することが常習的に行われていることがある。2008年にもホーチミン市において20人程度の死亡者が出た。

インドネシア

2009年5月、バリ島でメタノールが混じった酒を飲んで中毒を起こす人が続出。外国人を含む20人以上が死亡、多数が入院する事態となった。地元の酒造業者がアラック(米やヤシの実が原料の蒸留酒)にメタノールを混ぜて製造した酒が原因とみられる。

ウガンダ

2010年4月、ウガンダの南西のカバレ県、カムウェンゲ県において、メタノールが混入したワラギ(東アフリカの蒸留酒)による多臓器不全が原因となり、3週間で89人が死亡、100人以上が入院するという事件が起きた。

インド

2011年12月、インド西ベンガル州で違法に醸造されたメタノール入りの酒を飲んだ労働者がメタノール中毒を起こし、140人以上の死者、100人以上の入院患者を出した。

リビア

2013年3月、首都のトリポリにてメタノール入りの密造酒による中毒が原因で50人以上が死亡、400人近くが病院で手当を受けた。

ロシア

2014年3月、東シベリア・ザバイカル地方の村で、住民らがメタノール入りのウォッカを飲んだ後に、14人が死亡、12人が重症となった。

2016年12月、ロシア・シベリア地方のイルクーツクで、人体に有害なメタノール入りの入浴剤を安い酒代わりに飲んだ住民49人が死亡した。背景には、2010年からウォッカの最低小売価格が2倍になったことにあり、ロシア国内で年間1万3,000人以上が死亡していると見られている。

・純度の非常に高いメタノールは無色透明で、臭いもあまり強くない。
・お酒に混ぜられたとすれば、色や味が変わることはほとんどないため、まず気付くことは難しい。
・致死量:純粋なメタノール劇物に指定されるほど毒性が高く、成人の場合個体差が大きいが30ml~100ml が致死量とされます。

中毒症状
・視力障害が広く知られており失明するケースも多い。致死量を超えての摂取はもちろん死亡する。

お酒(エタノール)は大丈夫なのになぜメタノールはダメなのはなぜか?
もちろんエタノールも人間の体にとっては毒物です。しかし、エタノールは体内のアルコール分解酵素によってアセトアルデヒドに分解(代謝)され、さらに酢酸(お酢)へと分解されます。
ではメタノールはどうでしょう。こちらもやはり同じアルコール分解酵素により速やかに分解されます。こちらの場合はアセトアルデヒドより毒性の強いホルムアルデヒドに分解されます。
このホルムアルデヒドが問題だという意見もありますが、ホルムアルデヒド自体は速やかにギ酸(蟻酸)に分解されるため、それほど問題ではないようです。
問題はこのギ酸。ギ酸はその名のとおり蟻の一種が持つ毒液に由来しています。
このギ酸に対する代謝能力が低い霊長類には、その分解までに多くの時間を要することになり、結果身体に大きなダメージを与えます。

 

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