トリクロロ酢酸

分子式 C2HCl3O2 / CCl3COOH
分子量 163.4

トリクロロ酢酸は、マウスで肝腫瘍を引き起こすが、変異原性や染色体異常などのin vitro
系の試験では陰性及び陽性の結果が混在して報告されている。IARC(1995)ではGroup3
(ヒト発がん性物質として分類できない)に分類されている。また、平成4年の専門委員会
の評価では、Bull ら(1990)をもとに発がん性のおそれを考慮して0.3mg/L 以下の基準値
を設定しているが、発がん性を示す知見はラットでは認められず(De Angelo et al., 1997)、
マウスで行われた実験でしか得られていないことから、TDI 法による評価値の設定が適当で
あると考えられた。
雄の F344 ラット群に飲水中0、0.05、0.5、5.0g/L(0、3.6、32.5、364mg/kg/day)のト
リクロロ酢酸を2年間投与した結果、364mg/kg/day で、体重増加、肝臓重量(相対値では
なく絶対値)の減少、血清アラニンアミノ基転移酵素活性の増加、シアン化物-非感受性パ
ルミトイルCoA 酸化酵素活性の増加、肝細胞壊死の重症化が見られた。腎臓、脾臓、精巣
の重量に変化はなかった。放射標識されたチミジンの取り込み量として測定された肝細胞増
殖の証拠はなかった。32.5mg/kg/day で、血清アスパラギン酸アミノ基転移酵素活性が有意
に増加したが、化合物投与による有害影響ではないと判断された。非腫瘍性影響に基づいて、
この研究のNOAEL は32.5mg/kg/day であった(De Angelo et al., 1997)。

 

 

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