ホウ素

分子式B
分子量 10.81

 

毒性評価

実験動物へのホウ酸あるいはホウ砂の短期あるいは長期間暴露実験により、雄生殖器官への毒性が共通してて認められる。精巣傷害がラット、マウス、イヌへホウ酸またはホウ砂を食餌または飲料水に混ぜて投与したときに観察される。発生毒性がラット、マウスおよびウサギで示されている。ラットを用いた催奇形性試験におけるNOAEL:9.6mg/kg/dayが、胎児の体重増加抑制に基づいて求められている(Price et al., 1996)。多くの変異原性試験は陰性の結果を示し、ホウ酸あるいはホウ砂は遺伝子障害性のないことを示すと共に、ラットとマウスを用いた、長期試験では腫瘍発生の増加は認められていない(WHO, 1998)。
WHO(1996)および平成4年の我が国における専門委員会の評価では、イヌを用いた2年間の混餌投与実験の睾丸萎縮の発現を根拠に、NOAEL:8.8㎎/㎏/dayが求められ(Weir & Fisher, 1972)、不確実係数100(種差及び個体差)を適用してTDIは0.088㎎/㎏/dayと求められた。しかし、1998年のWHOでの再評価では、イヌを用いた実験は、GLP(Good Laboratory Practice)の概念に照らして信頼性が低いとされ、ラットを用いた催奇形性試験におけるNOAEL:9.6㎎/㎏/dayを基に、不確実係数60(種差10、個体差6)を適用してTDIは0.16㎎/㎏/dayと求めている。なお、個体差の不確実係数は通常10であるが、ホウ素の腎クリアランスのデータに基づきトキシコキネティックスについて1.8、トキシコダイナミックスについて通常通り3.2とし、1.8×3.2=5.7(まるめて6)を用いている(WHO, 1994;WHO, 1998)。
これ以後、ホウ素に関して評価値の算定に関わる知見は報告されていない。

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