ニッケル

 

元素Ni
原子量58.7

(1)毒性に係る評価
WHO(1993)
ラットを用いた硫酸ニッケルの2年間混餌投与〔Ambroseら(1976)〕による試験において、臓器重量の変化が認められたことからNOAELは5㎎/㎏/day。不確実係数は種内差及び種間差に対して100とし、適切な長期毒性試験及び繁殖性試験が行われていないこと及び経口摂取による発がん性の可能性についてのデータが不足していることなどからさらに不確実係数を10として合わせて1000。TDIは0.005㎎/㎏/day。
監視項目設定時の評価(1992)
上述のラットを用いた試験からNOAELは5㎎/㎏/day。不確実係数は1000とし、TDIは0.005㎎/㎏/day。
WHO(1998)
・限られたラットを用いた複数の試験の結果からは、NOAELはおおむね5㎎/㎏/dayとなる。
・最近行われたラットを用いた塩化ニッケルの飲水投与での2世代繁殖試験〔Smithら(1993)〕において第2回出産時の新生仔の死亡率の増加が認められたことからLOAEL1.3㎎/㎏/dayが求められているが、第1回目出産時のLOELが31.6㎎/㎏/dayである。第1回目出産時と第2回目出産時でばらつきがあることから確たる結論を本試験から導くことは困難である。
・また、もっと不十分な試験であるが、ラットを用いた塩化ニッケルの飲水投与での2世代繁殖試験〔Velazquez & Poirer(1994), ATSDR(1997)〕からNOAEL7㎎/㎏/dayが求められている。

(2)発がん性評価にかかる情報
金属ニッケルはGroup2Bに、ニッケル化合物はGroup1(IARC, 1990)に分類されている。経口摂取による発がん性の知見はない。
WHOのGDWQ(第2版追補)ではヒトにおける発がん性について以下のように評価されている。
ニッケルのヒトへの影響についてはInternational Committee on Nickel Carcinogenesis in Man(ICNCM)において、職業上ニッケルに暴露される集団に対する調査の解析が行われている。職業上、高濃度の硫酸ニッケル、酸化ニッケルに暴露されると肺、鼻腔のがんの原因となることがわかっている。金属ニッケルとがんの間には関係はない。溶解ニッケルの暴露によりがんのリスクは増大し、またこの暴露は溶解性の低いニッケル化合物の暴露によるリスクも増大させるかもしれない。職業上暴露を受ける場合以外でニッケル化合物により肺、鼻のがんが生じるという明白な証拠はないとICNCMは結論している。(WHO, 1998)

 

 

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